先日、唐突に発表された東京電力の企業向け電気料金17%の値上げですが、
どうやら原子力損害賠償支援機構は全く聞いておらず、当日に聞いた「不意打ち値上げ」だったそうです。
<東京電力>不意打ち値上げ、政府支援機構が怒り (毎日新聞) - Yahoo!ニュース 「我々を無視しておいて、こんな値上げを許すわけにはいかない」。東京電力が企業向け電気料金平均17%値上げを発表してから1週間後の今月24日、政府の原子力損害賠償支援機構が入居する東京・虎ノ門のビル。機構側が急きょ呼び出した常務クラスら東電幹部6人を前に、運営委員4人が怒りをぶちまけた。
委員らは料金値上げを発表当日の17日に知ったという。出席者によると、「不意打ち値上げ」と憤る委員らが「平均17%」の根拠を求めると、東電側は08年の料金原価の数字をもとに説明。委員らは「なぜ古い数字を使ったのか。これまでの合理化策が含まれていない」と詰め寄ったが、東電幹部は沈黙するだけだったという。
突然、電気料金の値上げを打ち出す東京電力も東京電力ですが、このような事態を防げなかった政府も、全く関係ないとは言えないでしょうね。
政府は、値上げを発表される前、8,900億円もの支援をする前に、きちんと事実を究明し、是正に向けて動いていなければならなかったのです。
発表されてから、泡を食って呼びつけて追及しても、後の祭りであり、政府の対応が後手後手に回っている印象は拭えません。
迷走する政府
野田政権が検討するとしていた発送電分離も、徐々に迷走し始めているそうです。
電力会社・崩れる牙城:強気の東電、「改革」迷走 「選挙なら下野」民主政権の足元見透かす - 毎日jp(毎日新聞) 現在の制度では送電部門の会計を発電部門と分ける「会計分離」を採用。経産省内には「東電という会社をこの世から消すための発送電分離が必要だ」として、東電の送電部門以外を売却する「解体案」も検討された。
しかし、現在、政府内で検討されているのは、送電部門の運用を電力会社から独立して設置する公的機関に委ねる「機能分離」案。政府内の検討の結果、「民間資産を強制的に切り分けるのは、私有財産権の侵害になる」(経産省幹部)として「所有分離」への慎重論が浮上。残る選択肢の送電部門を分社化して東電の傘下に置く「法的分離」では「一体運営の延長」との異論が続出、消去法的に機能分離が有力となった。独立性をどこまで貫けるかが焦点だが、政府内では公的機関に電力会社から出向させることも案として浮上。東電の影響下に置く形態になれば、改革は骨抜きになる可能性も残る。
「福島の賠償を優先させるためにも、発送電分離は先送りだ」。今月上旬、交渉を担当する政府関係者は東電幹部にこう告げた。衆院解散・総選挙が視野に入る中、「制度改革は賠償問題が落ち着いた後に時間をかけてやる」(政府関係者)と、先送りムードが高まっている。
発送電分離が実現しなければ、電力の自由化は出来ません。
これは、今までの経緯から見ても明らかなことです。
政府が所有分離ではなく、機能分離と言い出した時点で、嫌な予感はあったの
ですが、やはり、機能分離は消極的な選択肢として選ばれていただけだったよう
です。
政策的な決意から決められたものでない以上、これからもどんどんなし崩し的に
方針が崩れていく可能性は否定できないでしょう。
また、東京電力の発電部門と送電部門を切り分けるのは、「民間資産を強制的に切り分けるのは、私有財産権の侵害になる」との意見があるようですが、これも
ナンセンスです。
関係者は、賠償資金が足りないのであれば、新たに送電専門の会社を設立して、そこに送電網を販売、資金を捻出するという手段があることは、充分承知している
はずです。
これは財産権の侵害とは、全くの無縁のことです。
しかも、既に賠償金を払うための支援として、公的資金を注入した以上、
私有財産権を持ち出すこと自体が、間違っています。
国民の税金をもちいて、私有財産を維持するという事に納得できる人は、いないでしょう。
結局、送電網を販売してしまうと、実質的に発送電分離を実施したことになってしまうため、体よく言い訳しているだけであるとしか思えません。
消費税増税との兼ね合い
野田政権は、消費税増税へと邁進していますが、電力料金の値上げがその方針に深刻な影響を与えるとは予想できないのでしょうか?
このブログは、環境分野のテーマをメインにしているため、消費税増税の是非については明言を避けますが、電力料金の値上げが消費税増税の方針に深刻な影響を与えることは確実です。
関東圏の国民や企業は、現状では、東京電力から電力を買う以外に選択肢はありません。
つまり、電力料金の値上げは、税金の値上げに等しい行為と言えます。
電力料金の大幅値上げで、ただでさえ苦しいのに、更に消費税を増税すると言われて、誰が納得できるのでしょうか?
更に悪いことには、納得以前の話として、急激なコストの上昇によって、ショートしてしまうところが出てきかねないと言うことです。
電力料金の値上げにより、環境が悪い中、消費税を増税することは、最後の一押しをしてしまうことになりかねないでしょう。
それを可能な限り防ぐためには、電力料金の値上げ幅を圧縮する以外になく、圧縮するためには、事実の究明が必要であり、政権が指導力を発揮して、影響を最小限に抑える以外にないのです。
消費税を増税するだけが政権の仕事ではありませんし、増税をしたいのであれば、きちんとそれへ向けた環境を整えなければなりません。
野田政権が本当に成果を残せるかどうかは、その環境を整えられるかどうかにかかっていると言えそうですね。